数理最適化: Optimization Night #4に参加しました
「数理最適化: Optimization Night #4」に参加したので(オンライン)、まとめました。
間違っている箇所がある場合、指摘いただけると助かります。
目次
どんなイベント?
数理最適化に興味のある人達であつまって、わいわいがやがや議論する会です!
今回は、NTTデータ数理システムの大槻さんをお招きして、「動的計画法を活用した問題解決の概観」についてお話いただきます。 前回同様、後半の議論セッションで、お話いただいた内容をベースにみんなで議論できたらと思います。
発表
以下の2件の発表がありました 議論・Q&Aに関しては割愛します
動的計画法を活用した問題解決の概観
導入
数理最適化:与えられた制約条件下で目的関数の値を最適にする解を求める
動的計画法
動的計画法とは
- 問題を一連の部分問題に分割し、各部分問題の解をメモ化しながら順に求める手法
- 数多くの問題を分野横断的に解決できる
動的計画法による解法
- 問題を一連の部分問題に分割
- メモ化しながら、各部分問題の解を順に求める
- 汎用的で多くのパターンがある
着目する点:動的計画法の遷移パターン
- 漸化式と考えられ、その遷移パターンに着目すると、典型的なパターンをいくつか抽出できる
代表的な遷移パターン例
- ナップサック問題
- 解き方:全アイテムN個についていきなり考える訳ではなく、最初のi個のみを部分問題として考える(この際に重さも変数として加える)
- N個の要素をシーケンシャルに処理するDPとなる
- 似ている例:
- 隠れマルコフモデル(潜在変数が上記重さに該当)等
- 似ている例:
- 編集距離
- 文字列Sに変更・削除・挿入の操作を繰り返す事で対象の文字列Tに変換→その最小回数
- 2次元DPという観点だとナップサック問題と同じように見えるが、遷移図として表すと大きく異なる
- 二系列データの類似度を考える問題全般に適用される
- diffコマンド
- スペルチェッカー
- 音声、画像、空間認識(DPマッチング)
- バイオインフォマティクス(系列アラインメント:例2つのDNA配列の類似度)
- 区間分割
まとめ
- 動的計画法で解決できる問題のほとんどが共通の遷移パターンで扱える
- 共通の問題構造に着目することで明快に解ける
- 共通の理論と問題に特有の事情に分離することで、見通しの良い問題解決が出来る
ローカル線全駅下車の最適化
ローカル線の旅の難点:全駅下車して回ろうとすると時間がかかる→効率的に回る方法はないものか?
問題整理
- 目的
- 特定の路線の全駅を訪問
- 最初の出発駅・時刻を固定したうえで最終駅到着時刻を最も早くする
- 制約
- 最終的に出発駅に戻る
- 各駅で最低D分滞在
- 特別な制約の巡回セールスマン問題
解法
- 2ステップ
- 列車データを使いやすい形に変換
- 各駅のペアについて出発時刻をずらしつつ乗り換え検索を走らせる
- Bit DP
- 列車データを使いやすい形に変換
結果
- 人口データと実際のデータで検証
- 無駄な動きがあるので抑えたい
- 1日で回りきるのが不可能な場合の考慮も行いたい