ナッジについて
人工知能学会の中で、ナッジ(Nudge)という言葉が出てきていたので基礎的な事を調べました。
解釈間違い等ある時がありますので、その場合指摘いただけると助かります。
またナッジについて体系的に学んでいないため、今回のブログはナッジの一面だけ切り取っているものとなっているかもしれません。
目次
- ナッジ
- ナッジとは?
- ナッジと機械学習領域
- 10個の重要なナッジ
- default rules
- simplification
- uses of social norms(直訳:社会規範の利用)
- increases in ease and convenience(利便性の向上)
- disclosure(情報開示)
- warnings,graphic or otherwise
- precommitment strategies
- reminders
- eliciting implementation intentions(直訳:実施意向の引き出し)
- informing people of the nature and consequences of their own past choices(直訳:自然周知と己の選択の結果?)
- 感想
- 参考文献
ナッジ
ナッジとは?
- 行動経済学において定義
選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素(定義:Thaler & Sunstein(2017年ノーベル経済学賞))
人の思考を活用し選択肢等を上手く配置する事で、より適切な行動を促進するアプローチ
多くのナッジのゴールは、人の生活をよりシンプル・安全・簡単にナビゲートすることにある。
- 産学政官民連携で日本版ナッジユニットという取り組みもなされている。
ナッジと機械学習領域
10個の重要なナッジ
- ナッジ自体は幅広く数多くのものが存在しているが、参考文献3には以下の10個が重要なナッジとして紹介されていた。
- default rules
- simplification
- uses of social norms
- increases in ease and convenience
- disclosure
- warnings,graphic or otherwise
- precommitment strategies
- reminders
- eliciting implementation intentions
- informing people of the nature and consequences of their own past choices
default rules
- 最も効果的なナッジの一つと考えられる
- 例
- 自動的に退職年金のプランに入る→貯蓄の増加の期待
- 自動的にヘルスケアプランに入る→健康面へのプラスの効果
- 能動的な選択が発生しない限り、或る種のデフォルトルールは避けられない
simplification
- 多くの施策やプログラムはその複雑さにより失敗する可能性が上がりやすくなる
- 原則的にプログラムは容易にナビゲートされるべきである。
uses of social norms(直訳:社会規範の利用)
- 最も効果的なナッジの一つとして、多数の人がある特定の行動等を行っている事を示すこと。
- 可能な限りローカルで具体的な場合に最も効力を発揮する。
- 例:あなたのコミュニティでは、ほとんどの人が税金を期限内に支払っている。
- 可能な限りローカルで具体的な場合に最も効力を発揮する。
- uses of social normsにより犯罪等の有害な行為の減少が期待される。
- 実際、多くの人が良くない事をしている場合もあるが、このようなケースでは何を実際にしているかではなく多くの人がどうすべきと思っているかを強調する事が有用な場合もある。
increases in ease and convenience(利便性の向上)
- 人はよく簡単な方の選択を行う。
- 特定の行動に導くのがゴールの場合、様々な障壁(何をすべきか理解するまでにかかる時間も含む)を減らすのが有用な場合も多い。
- 変化に対しての抵抗は、多くの場合反対意見ではなく困難さを認識した結果
- 容易な選択が魅力的であればそちらを選択する可能性は高い
disclosure(情報開示)
- 例:エネルギーを使うための経済的および環境的なコストの開示
- 消費者にとって、disclosure policiesは情報がアクセスしやすく・わかりやすい場合より効果的となる。
- disclosureは民間または公共の不注意、怠慢、無能、不正行為、腐敗のチェックに使える場合がある。
warnings,graphic or otherwise
- 深刻なリスクを含んでいる場合、警告はベストなナッジとなりうる。
- 但し、「自分は大丈夫」等と考えそのリスクを割り引いて考える場合もある。
- 研究によると、警告に関するリスクを減らすための具体的な手順の説明がなされている場合、そのリスクを低く考える可能性が低くなることが示されている。
precommitment strategies
- 禁煙、禁酒、貯蓄等ゴールを決めた場合でもゴールまで至らずにやめてしまう事も多い。
- 禁煙プログラム等ある行動を行うと誓った場合、ゴールまで至る可能性を増やす事ができる
- 特に未来の正確な時点で特定の行動をコミットする事で、行動のモチベーションを高める事が出来る
reminders
- 人がある行動(請求書の支払い、薬を飲む等)をしない場合、理由として惰性や先延ばし、単純な物忘れ等の組み合わせが考えられる。
- reminderが上記に対して大きな影響を与える事が出来る。
- reminderはタイミングが重要となり、直ぐに行動に移せるようにすることが重要となる。
- keyword:"prompted choice"
eliciting implementation intentions(直訳:実施意向の引き出し)
- 誰かが実施意向を引き出すと活動に参加しやすくなる。
- 将来の行動についての簡単な質問や、アイデンティティの協調が効果的な場合がある。
informing people of the nature and consequences of their own past choices(直訳:自然周知と己の選択の結果?)
- 様々な機関は人自身の過去の選択についての多くの情報を持っているが、人々自身にはその情報の欠落がある場合がある。
- 人々がそれを手に入れた場合、行動にシフトが発生しマーケットがよく働くことがある。
感想
- 最初はよくわからなかったが、いくつか参考文献を読むうちに「なんとなく」「うっすら」理解したような気がする。
- 専門領域ではないが、今後何をしているかという所まで理解しナッジとブーストの違いといった所までわかるようになりたい。
参考文献
1: 日本版ナッジ・ユニット 「ナッジ」とは?
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/nudge_is.pdf
2: 小野 哲雄 “ナッジ ”エージェント
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2019/0/JSAI2019_1G3OS13a01/_article/-char/ja/
3: Nudging: A Very Short Guide https://dash.harvard.edu/bitstream/handle/1/16205305/shortguide9_22.pdf?sequence=4